MMORPG「RED STONE」にて細々と活動を再開しそうな、煙WIZの日記・・・の残りカス?  小説っぽいの&徒然なるお話を上げていきます
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深雪に谺する獣の息吹
2008-12-18 Thu 20:48
とある世界の、とある狩人達の物語―――
「無理だ…俺の事はいいから、お前だけでも下山しろ…」
苦しげに言葉を紡ぐ男。鎧から覗く真新しい包帯と、それに滲んでいく鮮血。
「なぁに弱気なコト言ってるんスか!クレスさんが何言おうと、
 担いででも帰りますから!!」
苦しげな男…クレスに比べると幾分若い男が、励ますように言う。
「…はは、そうだな。どうかしてたよ…。すまんな、カイル…」
「だから、弱気なクレスさんはキモいッス…」
「キモいっていうなよ…」
「あぁ、ツッコミも弱いッス…!」
空気の流れる音と、二人の足音しかしない永久氷壁の洞窟。
ここは、その地方の大半が1年中雪に覆われる山間部にある、雪山の一つ。
そして、二人はハンターだった。
「しかし…あいつが居たとは、運が無いな…」
「見たって情報も全然聞かなかったッス…」
「…吹雪に、なるのが、わかっていて、雪山に、登る奴はいないさ…」
赤い瓶に入った液体を飲み、大きく息をつくクレス。
「吹雪が止むまで、ホットドリンク持ちますかね?」
「どうだろう、な…。ひとまずは、調合分があるが…」
腰に付けたやや大きめな袋に手を入れ、ごそごそと中身を確認する。
「…あれ?」
「…どうか、したのか?」
「いや、今何か聞こえたような…」
カイルが言い切る前に・・・そいつらは現れた。
「グウゥゥ…!」
「ギャアァァ!」
二人を包囲するように地面から現れた、白い体毛の大猿。
「ブランゴか…。また、厄介な奴等に、囲まれたもんだ…」
そう言いながらクレスは、背中に背負った細長い剣…太刀を鞘からゆっくりと引き抜く。
「クレスさん…大丈夫ッスか?」
どうにか立っているクレスを心配しながら、腰に据え付けてある鞘から剣を引き抜くカイル。
「盾がある分、お前の方が動き易い。フォローは、頼むぞ」
「勘弁してくださいよ。自分がフォローに入ったら、ブランゴごと真っ二つにされるッス」
冗談めいた会話をしているが、彼らの目は油断無く周りを囲むブランゴを捉えていた。
「ってか、こいつらが居るって事は…」
「まぁ…近くに、居るだろうな…」
「む~…」
カイルが、苦い顔をする。と、
「ゴガアァァァァ!」
明らかに、ブランゴのものとは思えない咆哮が洞窟内に響き渡った。
「うわ…マジッスか…」
「こりゃあ、どうあっても、俺らを殺る気だな」
言いながら、袋をごそごそといじるクレス。
「まぁ、ひとまずは…こいつらには、お引き取り願うとするか」
勢いよく袋から引き出され頭上に掲げられた手には、丸い玉のような何かが握られていた。
「そら、最後の1個だ…その目に焼き付けていけ!」
クレスは、頭上の玉を足元に叩き付けるように投げた。
瞬間、凄まじい閃光が彼を中心に沸き起こった。
「ギャアァァ?!」
閃光をまともに喰らって悶絶するブランゴ達。
「どうするんスか?!」
「ひとまず…殺るぞ!」
クレスの声を合図に、二人は動けないブランゴ達に斬りかかった。

「はぁ…はぁ…。さすがに、きついな…」
全てのブランゴを片付けた二人は、その場所から走って逃げていた。
「はぁ…折角だからっ、毛でも剥ぎ取っとけばっ、良かったッス」
「これで、手下はだいぶ、減ったはずだ。うぐ…また、囲まれる、前に、抜け切るぞ…!」
「またツッコミなしッスか…!」
がっくりとうなだれるカイルだったが、
「あれ?」
「今度は、何だ…?」
立ち止まり、キョロキョロと周りを見るカイルに、クレスは呆れかけた。
「出口が近いんスよ!何か見慣れた感じがあると思ったら、
 よくガキの頃に探検してた場所だったッス!」
「本当か…?!」
二人共、各々に光明が見えた嬉しさが顔に出ていた。

ミシッ

「「え?」」
異口同音、二人同時に上…洞窟の天井を見上げる。
パラパラと氷の破片が落ちる天井に、大きな亀裂が入っていた。
そして
「ゴガアァァァァ!!!」
奴が、咆哮と共に現れた。
「そっ、そりゃないッスよ!」
「いい加減、しつこい、ぞ…!」
喜びの表情から一転、苦虫を噛み潰したような顔の二人。
「グルゥゥゥ…」
低く唸る、白い大猿。先程のブランゴより、一回り以上大きい。
ブランゴの群れの頂点に君臨するリーダー、ドドブランゴ。
「構えろ、カイル。隙を突いて、逃げるには、あいつは、速すぎる」
太刀を構え、ドドブランゴに鋭い視線を送る。
「本当に手下は打ち止めみたいッスね」
右手で鞘から剣を抜き、左手に付けた盾を握り直すカイル。
「グルル…ガアァァァァ!!!」
耳をつんざく、大猿の咆哮。
「うわ、うっせぇッス!」
「耳栓があれど、これはきつい、な…」
「クレスさんいつの間に?!」
咆哮で怯んだ二人に、想像以上のスピードで突っ込んでいく大猿。
「持ってくれよ、俺の腕…!」
走り込んでくる大猿から見て、左側に立っていたクレスは、鋒を下げ左後方に太刀を引いた。
大猿は、瞬時に危険を察知し回避に移るが、怪我をしているとは思えない踏み込みでクレスが太刀を横に払った。
「グギャアァァァ?!」
回避しきれなかった左腕から、鮮血が吹き出る。
傷口は、その腕の太さの半分くらいまで裂け、機能が著しく低下しただろう。
「なまくらじゃあ、無いんだ。俺が万全なら、腕がなくなって、いたぞ」
太刀に付いた血を振り落とす。振った瞬間、刀身に紫電が走った。
「怪我してるとはいえ、さすがッス!」
「実際、かなり…っ、きついが、な…!」
傷が痛むのか、思わず膝をつくクレス。
「グウゥゥ…ガアァァァァ!!!」
痛みにのたうちまわっていた大猿は、その目を血走らせて怒号を放つ。
「さすがに…キレたみたいッスね…」
カイルの頬を一筋の汗が伝う。だが、その手に握られた剣の鋒はしっかりと大猿に向けられている。
「ギャアァァ!!!」
怒り狂う大猿は、何故か氷壁に向かって走りだした。
「何を、する気だ…?」
「…あぁ!やばいッス、上見てください!」
カイルの声に天井を見たクレスは、戦慄した。
人の大きさを裕に超える無数の氷柱が、彼らを見下ろしている。
「くっ…。あいつ、俺らもろとも、死ぬ気か…?!」
間に合わないとわかっていても、クレスとカイルは走りだすしかなかった。
「くそぉっ…!」
後数歩で、その場にいる全員に牙を剥く氷牙が降り注ぐ。
この時において、それを防げる者は居なかった。


「…ウオォォォォ!!!」
だが。
大猿に比べれば小さいが、人としてはかなり大きい何者かが、その結果を変えた。
恐らく、ハンマーなのだろう。鈍く光る塊を持ち凄まじい踏み込みで乱入してきた男は、
走り込んでくる大猿に勢いのままハンマーを叩き込んだ。
「グギャアァァァ?!」
走り込みながら万全な防御が出来る訳も無く、鉄槌の直撃を受けた大猿はもんどりうって転がっていく。
「よっしゃあ!ジャストミート!!」
その、異様に盛り上がった上腕を誇るようなポーズを取り、雄叫びを上げる大男。
「…彼らの方にいくとか、避けられるとか、そういうのは考えないのか?バルガ」
大男…バルガの後から、体格的に普通の男が現れた。
全身漆黒の鎧を纏っている事は異様だが。
「結果的に、そうはならなかったじゃねぇか!」
ガハハと、巨体に似合った豪快な笑い方で笑うバルガ。
「はぁ…まぁいい。二人共、怪我はないか?」
成り行きを静観していた二人に、黒鎧の男が近付いてくる。
「あ…クレスさんが怪我してるッス。自分は大丈夫ッス」
「えぇと…君がカイル・レナミス、そちらがクレス・ライト、で間違いないか?」
「あぁ…礼を言おう。正直、生きて帰れる気が、しなかった」
「無理もない。この吹雪に加え…奴が居たんだからな」
おもむろに振り返り、背中に背負った黒い鞘から、これまた黒い太刀を抜く男。
その視線の先には、雪のように白かった体毛を真っ赤に染めた大猿が立っている。
「全身黒の鎧に、黒刀…あいつは…」
「知ってるんッスか?」
「知らん方が、おかしいぞ…あいつは、ギルドの十将の、一人だ」
「あ、あの、古龍とも互角に渡り合えるって話の…?」
驚き、男の背中を見つめるカイル。
当の男は、二人の会話が聞こえていないようで、大猿の一挙一投足に注意を放っている。
「…引け。その傷なら、来年の春までには癒える」
静かに、だがはっきりとした声で、大猿に話しかける男。
「グウゥゥ…」
人語を理解するのか、戸惑っている素振りをみせる大猿。
「この二人は、お前達の住処を荒らしに来た訳じゃない。
 だが、彼らはお前の仲間を傷つけ、殺してしまった。
 …都合のいい話だが、この辺りで引いてくれ。これ以上、お互いが傷つく理由はない」
言いたい事を言い終えたらしく、大猿の動きを窺う男。
「グウゥゥ…ガアァァァァ!!!」
大猿が、吼える。だが、今までの怒号とは違う…不可避の現実を嘆くような、悲しい咆哮だった。
「そう、か…」
一瞬、顔を下に向ける男。だが、すぐに前を向き、太刀を低く地面に水平に構える。
「グギャアァァァ!!!」
男に向かって、まともに動く右腕を上から下へ振り下ろす。
「…すまん」
紙一重でかわし、手向けの言葉を紡ぐ男。
完全に大猿の懐に入っていた。が、軽く一歩下がる。
そして、いつの間にか背中に回し、鋒が地面に着くくらい下げた太刀を、袈裟懸けに、振り抜いた。

「…」「…」

両者共、身動き一つしない。だが…大猿の、右肩から左腰にかけ、赤い線が入る。
瞬間、風船が弾けたように噴き出す血液。次いで、天井を仰ぐように倒れる大猿。
傷は、あわや大猿の体を分断しようかという程に、深かった。
「なんと…」
「…凄い、ッス…」
目の当たりにした十将の実力に、言葉を失う二人。
力無く、血に濡れた太刀を右手で持ち、大猿の鮮血を浴びる黒鎧の男。
顔は俯いて、表情は窺えない。
「…ほら、怪我人もいるんだ。とっとと帰って、あったかいもんでも食おうぜ」
血に濡れた男に、布をかけるバルガ。
「…あぁ、そうだな。悪い」
「気にすんな」
素っ気なく返事をするバルガは、クレス達の方に近付いていく。
「ちぃと手間取っちまったな。でもまぁ、俺らにかかりゃああんなもんよ」
凄みのある、ニヤリとした笑みを見せる。が、一瞬真顔になって
「…さっきのは誰にも言うなよ。俺らは、あんたらを助ける為にあいつを狩った。
 誰に聞かれてもそれ以上、細かい事は言わんでやってほしい」
と、二人だけに聞こえる声で呟く。
「あ、あぁ…」
「わかったッス…」
「ありがとう」
目を伏せ、礼を述べるバルガ。
「さぁて…じゃあ帰るとするかぁ!」
先程と同じくガハハと笑い、クレスを担ぎ上げる。
「お、おいおい。いきなり、何だ…!」
「怪我人なんだろ?こっちのが楽だぜ!」
「よかったッスねぇ、クレスさん」
カイルはニヤニヤしながら、クレスを見上げている。
「…そういえば、名前を言ってなかったな」
鎧に付いた血を拭い落とした男が、黒い兜を取りながら言う。
「リュウガ・リゼル。まぁ、一応ギルドの人間だ」
「バルガ・ジャタ・グラシャスだ。よろしくな!」
「あの~…あいつは、どうするんスか?」
息絶えた大猿を見るカイル。
「…放っとけば、手下のブランゴが連れて行くだろう。出来れば、そうさせてやりたい」
無表情に言うリュウガ。
「…おらおら!おめぇら皆仲良く凍死したいのか?!」
洞窟に響くバルガの大声に、
「…バルガ殿、出来れば、背負われている者が居る事を、思い出してほしい…」
ガクガクと揺さぶられて、ぐったりとしたクレスが相づちを打った。
「お、おぅ。すまねぇな、クレスさんよ」
慌てて、クレスが楽なように背負い直す。
「じゃあ…帰るとしようか」
洞窟の出口に向かって歩き出す一行。
途中、大猿の方を振り返ると、数匹のブランゴがこちらを窺っていた。
「…すまん」
ぽつりと呟き、視線を戻して歩き出す。

大猿の死を悼む、悲しい鳴き声が聞こえた気がした。
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